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経営者とZ世代をつなぐ未来創造番組「CLUB CEO」(interfm 毎週日曜日朝7:00放送 パーソナリティ:弊社代表五十嵐彰)に全国農業協同組合連合会から安田 忠孝 代表理事専務にご出演いただきました。番組の概要は下記のとおりとなります。
※1枚目 前列左から安田さん、五十嵐。後列左からZ世代ゲスト遠藤さん、菊口さん、SMBCCF藏田さん。 2枚目 左から安田さん、五十嵐。
放送日 :2024年11月17日(日) 7:00~7:55
放送局 : interfm
出演者 : 安田 忠孝 (やすだ ただたか)さん
(全国農業協同組合連合会 代表理事専務)
略歴>
1960年 山口県生まれ
岩国高校(バスケットボール部)卒業
1983年 京都大学 法学部 卒業
同年、全国農業協同組合連合会(全農)入会 、農業機械部(15年)
1998年 全国農業協同組合連合会 組織整備対策室
2003年 日本ミルクコミュニティ株式会社(現 雪印メグミルク株式会社)にて
「メグミルク」ブランドの立ち上げに携わる
経営企画部 戦略グループ課長(3年)
2010年 全国農業協同組合連合会 生産資材部 次長~部長~参事を歴任
2014年 同会 生産資材部 部長
2015年 同会 参事
2017年 同会 常務理事
2021年 同会 代表理事専務(現在)
Z世代 : 遠藤 雅楽さん(郁文館グローバル高等学校 リベラルコース 3年生)
活動>フードロスと貧困の方々をつなぐ取り組み、研究を中学2年生から継続中
Z世代 : 菊口 結夏さん(ネットの大学managara 経済学部 1年生)
活動>リゾートバイトや地方創生に関するインターンなどに活動中
放送内容:日本の農業とJAの役割、そして未来への取り組み
JA(農協)は農業者を組合員とする協同組合で、全農はそのJAを会員とする協同組合連合会である。同組合は、農家が必要とする資材や肥料、農薬、機械、家畜の飼料などを調達し、届けることを行っている。また、農家が生産したお米や野菜、果物を集め、消費者へ届ける仕組みも担っている。しかし、現在の日本農業は深刻な課題に直面しており、特に顕著なのが人手不足と高齢化である。農村地域や山間地域では、都市部以上にこの問題が深刻化しており、農業従事者の平均年齢は67歳に達している。
人手不足への取り組み
人手不足の課題に課題に対して、同組合はさまざまなアプローチを行っている。都市部の人々が必要な時に農業を手伝えるよう、労働力を仲介する仕組みの構築である。また、観光業界とも連携し、観光の閑散期に労働力を農業に活用する取り組みや、農業体験を組み込んだ旅行プランの提供も行われている。さらに「91農業」という新しいライフスタイルの提案も注目されている。
このコンセプトでは、10のうち1を農業の仕事に充てるという形で、気軽に農業を体験し、消費者に農業への親しみを持ってもらうことを目指している。これにより、農業側にとっても貴重な労働力となるだけでなく、日本の農畜産物への理解と愛着を広げるきっかけにもなると期待されている。
「ニッポンエール」と地域活性化の取り組み
日本各地には素晴らしい農畜産物が存在するにも関わらず、その魅力が十分に知られていないという現状がある。この課題に対応するため、JAは「ニッポンエール」というブランドを立ち上げた。
今回スタジオに47都道府県それぞれの特産果物を使用したグミをスタジオにお持ちいただいた。
こうした商品を全国に届けることで、地域の農畜産物を広く知ってもらうきっかけとなり、地域経済の活性化にもつながると考えられる。
未来創造会議テーマ『日本の農業の未来』(Z世代→経営者)
五十嵐: 25年ぶりに「食料・農業・農村基本法」が改正されました。この中で、食料の安定供給や食料安全保障の強化が謳われていますが、これが農業にとって追い風となるのでしょうか?
安田さん: はい、追い風になっています。農業に対する関心は確実に高まっていますし、この法律を契機として、国内農業を持続可能なものにしようという動きが加速していると感じます。
五十嵐:遠藤さんも、農業にはさまざまな課題があるとおっしゃっています。 例えば、農業従事者の高齢化、農業人口の減少、耕作放棄地の増加などです。このような状況で、日本の農業の未来について、どのようにお考えですか?
遠藤さん:そうですね。特に海外からの輸入品との価格競争について、これからどのように日本の農業に影響を与えているのか、詳しく聞きたいです。
安田さん:遠藤さんがおっしゃる輸入品というのは、果物や肉類などの食品ですね。確かに、外国産の品質が良くて安いものが流通しています。それを選ぶ消費者心理も自然なことだと思います。ただ、なぜそれが 安いのかという背景を考える必要があります。最近では、サプライチェーンにおける人権問題も注目されています。外国の生産地で、不当な価格で出荷される場合や、輸出品に補助金がつくケースもあります。そのため、単純に価格だけで比較するのは難しいのです。
五十嵐:農畜産物の価格は、誰が決めているのでしょうか?
安田さん:多くの場合、市場で決まります。市場では出荷者と仲買人の間で、需要と供給のバランスによって価格が決定します。しかし現在は買い手の力が強いため、農家側としては生産コストが反映されない価格になりがちです。
五十嵐:例えば、キャベツを作るのに200円のコストがかかっていても、100円で売らざるを得ない、ということですか?
安田さん:その通りです。100円の価格しかつかない場合、仕方なくその価格で 売ることになります。
五十嵐:では、農家さんはどのように利益を得ているのでしょうか?
安田さん:実際には利益を得られない農家も多いです。それが、農業に従事する人が減少している理由の一つです。
五十嵐:特に今は円安の影響でコストが上昇しています。耕運機やトラクターの燃料費も高騰していて、生産性がますます低下しているのではないのでしょうか?
安田さん:おっしゃる通りです。燃料費は輸入に依存しているため上がりますし、肥料の価格も原料費の高騰により上昇しています。
五十嵐:それでも価格に転嫁できないのですね。買い手が100円と決めたら、200円のコストがかかっていても売らなければいけない。
安田さん:そうですね。売らない場合は廃棄するしかないので、結局売るしかありません。
菊口さん:難しい所だと思いますね。私の家でも母が「野菜が高い」と言いますし、確かに安ければ家計は助かるのですが、安田専務とお話してみて、農家の方々のことを考えると、消費者にとってただ野菜が安いという事だけが良いことではないのだと思いました。
遠藤さん:僕は17歳ですが、Z世代にはSNSなどの発信力があります。それを活かして、農家を取材し、そのストーリーを広めることで消費者の意識を変えられるのではないかと思います。価格も農家にやさしくなるのではないのでしょうか。高い野菜を見ても、これには愛が込められているからこの値段は妥当だと思えるようになるのではないかと思いました。
安田さん:素晴らしい考えです。農家の方々も「高い価格が良い」と思っているわけではなく、双方が納得できる形で農業が成り立つ世界を目指していきたいですね。
未来創造会議テーマ『農畜産物にどんな付加価値があれば買いたくなりますか』(経営者→Z世代)
遠藤さん:日本製品は「Japan as No.1」と評価されるほど信頼がありますよね。ただ、日本の農家の方々は海外での販売ノウハウをあまりお持ちではないと思います。そこで、JAなどの組織が海外マーケティングを行い、日本の農産物を海外に売り出すという選択肢はどうでしょうか?
安田さん:日本の食材は主に日本の食事のために作られています。味覚というのは記憶に結びついているもので、幼少期から食べ慣れたものが「おいしい」と感じられるわけです。そのため、日本の農畜産物が海外で売れるためには、現地の人々に日本食を食べてもらい、その「おいしい」という感覚を育む必要があります。私たち全農でも、日本食の良さを海外の方々に伝え、「おいしい」と 感じていただけるような活動をしています。
菊口さん:日本の農業では、人手不足をITで解決しようという動きもあると聞きました。具体的にはどのような取り組みが行われているのでしょうか?
安田さん:ITの活用には大きく2つの側面があります。1つ目は、生産現場での効率化です。例えば、衛星技術を使って耕地をモニタリングし、肥料が足りない場所を特定して、そこだけに肥料をまくといった「無駄のない生産」が実現されています。また、年間の労働計画を効率化するための生産管理ツールも活用されています。2つ目は、流通の効率化です。例えば、「2週間後にどれだけ収穫できるか」というデータを市場や小売業者に共有することで、無駄のない流通を実現しています。これにより、中間コストが削減され、農畜産物の価値が上がるというメリットがあります。
番組を通じてZ世代の感想
遠藤さん:今まで買い物をする際、「野菜が高いな」と感じて安いものを選んでいました。でも、今回の話を聞いて、農業と全農が共存していることや、売り手と買い手の相互関係で成り立っていることを理解しました。これからは、ただ安いものを選ぶのではなく、その背景にある農家の方の苦労や喜びも考えられる世の中になってほしいと思います。
菊口さん:私が一番印象に残ったのは「91農業」です。最初にお話を伺ったとき、農業が社会課題や人口減少など、多くの問題を抱えていることを知りました。しかし、それらの課題を「91農業」などの取り組みで解決しようとしている姿勢が非常に印象的でした。
安田さんにとって、「日本の農業の未来とは?」
> 『農家も消費者も喜んでいる』
選曲:
1曲目)HONESTY(Billy Joel)※安田さん
2曲目)明日に架ける橋(Simon & Garfunkel)※安田さん
3曲目)週刊少年ジャンプ(RADWIMPS)※遠藤さん
4曲目)BADモード(宇多田ヒカル)※菊口さん
企業情報:全国農業協同組合連合会
設 立:2010年5月
設 立:1972年 ※全販連と全購連が合併し「全農」誕生
代表者:経営管理委員会 会長 折原 敬一
代表理事理事長 桑田 義文
所在地:〒100-6832 東京都千代田区大手町1-3-1 JAビル
事 業:「会員が協同して事業の振興をはかり、その構成員である組合員の農業の生産効率をあげ、経済状態を改善し、社会的地位の向上に寄与すること」を目的として、主として生産資材・生活用品等の供給および農畜産物の加工・販売等の事業を行う。
出資金:115,230百万円(2024年3月)
職員数:7,645人(2024年3月)
~SMBCグループ協力~
『お金とくらしのトリセツ』
講師 :SMBCコンシューマーファイナンス株式会社 藏田 真衣さん
テーマ :「労働問題」
内 容 :働く時間の上限規制
2019年から時間外労働の上限規制が法定化され、原則として時間外労働は月45時間、年間360時間までと定められた。この規制は、長時間労働を是正し、働きやすい環境の実現に向けた大きな一歩である。
さらに建設業では、これまで36協定を結んでいれば時間外労働は無制限であったが、2024年4月からは一般企業と同様の上限規制が適用された。臨時的な特別の事情がない限り、時間外労働を上限を超えて行うことはできなくなり、特別な事情がある場合でも月100時間未満、年720時間以内とされている。これらの規制はどの業界でも働きやすい環境づくりを目指す取り組みとして注目されている。
学生が知っておくべき就職活動のルール
就職活動を進める中で、内定承諾書を提出した後でも、他社の就職活動を続けたり、内定を辞退することは可能である。内定承諾書には法的な拘束力はないが、辞退する場合は、入社の2週間前までに連絡することが必要。このルールを理解しておくことで、就職活動を進める際に余裕を持って選択することができる。
ハラスメントへの対処
働く中で、さまざまなハラスメントが問題となることもある。
もし被害に遭ってしまった場合には、社内の相談窓口や労働局などの公的な機関に相談し、適切な支援を受けることが大切である。
※ゲストCEOとZ世代ゲストとの収録の様子。(写真左側は安田さん。右側Z世代ゲスト遠藤さん(左)、菊口さん(右)
※1枚目 収録の様子。(左から安田さん、Z世代ゲスト遠藤さん、菊口さん、五十嵐)※2枚目 左からZ世代ゲスト遠藤さん、安田さん、Z世代ゲスト菊口さん
なお、この番組の放送に収まらなかった完全版はAuDee、Spotifyでお聴きいただけます。
・AuDee公式ページはこちら:https://audee.jp/program/show/100000357
さらに、CLUB CEO公式YouTubeチャンネルでは「Z世代が聞きたい質問!」シリーズを公開中です!就活・起業を目指す学生に、このチャンネルでしか聞けない経営者の生の声を配信しています。CLUB CEOのYouTubeチャンネルをぜひチェックしてみてください!
・公式Youtubeチャンネル:https://www.youtube.com/@CLUBCEO-rm9kx
・全国農業協同組合連合会 安田さん: [こちらからご視聴いただけます]
■Steenz(スティーンズ)とは?(https://steenz.jp/)
多様性の時代を生きる10代がもつ「自分らしさ」にフォーカスし、その生き様を賞賛し、個性を磨き続けられる社会を実現させるためのメディア・プロジェクト。
■CLUB CEOとは?
「経営者とZ世代をつなぐ未来創造番組」をコンセプトに、毎週日本を彩る『真の』経営者をゲストにお迎えし、経営者の人柄や事業内容に迫るだけではなく、
小学館が運営する10代向けメディアコミュニティ『Steenz(スティーンズ)』ならびに
幼児から中高生・社会人まで教育サービスを総合的に展開する株式会社ウィザスと連携し、Z世代が持つ「価値観」や「社会課題」を経営者と一緒に考え学んでいく番組です。
<番組概要>
番組名 :「CLUB CEO」
放送局 : interfm
放送日 :毎週日曜日 AM7:00-7:55
進行 :ナビゲーター五十嵐彰(株式会社CMerTV代表取締役社長)